vol.3 日本語学校は塾がライバル!?

コース長の中道です。

養成講座の第4期は、概論が終わり、実習でも少しずつ授業を組み立てる段階に入っています。

ぶろぐの第3弾は、『教授法』の担当である松本先生をご紹介いたします。

中道:松本先生、今日はよろしくお願いいたします。

   先生がこの業界に入ったきっかけを教えてください。

松本:日本の文化の原点は何かを知りたかったからです。

中道:そうですか。

   日本語教育を学ぶと、それも理解出来るのでしょうか。

   では、先生が日本語教育を勉強しているときに苦労したことは何ですか。

松本:実践の授業で受講生の方達を前に模擬授業を行った時です。

   担当したのは『みんなの日本語初級Ⅰ第8課 形状形容詞』で、一番やりやすいかなと思ったのですが、担当の先生に

   「全く意味がわかりません」と冷たく言われました。その先生がおっしゃっている「意味がわからない」の意味が

   わからなくて、どうすればよいかと思いました。私のクラスの実践担当の先生は、本当に厳しくて、

   クラスで泣き出す人がいたり、日本語教師を諦める人もいました。

   しかし、その先生の厳しい言葉を受けて、実際の授業を見学に行って、「日本語の意味、概念を教える」とは

   どういうことかを学びました。

中道:わが子を谷底に突き落とす、母ライオンのような先生だったのでしょうか・・。

   教育現場に出てからの思い出を教えてください。

松本:教育現場では、色々なことがあります。毎日、色々なことが起こるので飽きません。

   良いこともあれば、悪いこともあります。

   悪いことを一つ紹介します。

   初めて日本語学校で教えた時、初級、中級、上級のクラスを担当しました。上級は養成講座でも教え方について

   詳しく教えてもらっていなかったので、とても不安でした。主任に「上級はできないので、他の先生に変えてほしい」と

   お願いしました。

   すると、その主任は「先生はプロですよね。プロなら、できないは許されません。」と言われ、クラスに入りました。

   学生は韓国人、全員能力試験1級保持者でした。授業を始めた途端、一人の学生に「先生、全然、わかりません。」と

   言われました。

   「え?あなた達はそんなに日本語も上手で、1級も持っているのに何がわかりませんか?」と聞くと、彼女は、

   「私たちは、ひらがながわからない」と言いました。

   「え?ひらがな?」と聞くと、「あまり、ほとんど、ちょっと。。このような使い方がわかりません。」と言われました。

   これは、とてもショックでしたが、上級の学生への教え方について勉強できました。

   初級では養成講座の実習で洗礼を浴びて、上級では実際のクラスで洗礼を浴びました。

   これは私にとって、大きな『プレゼント』でした。

中道:クラスレッスンでは特に、学生のレベルをいかに把握するか、悩みますよね。
   初めてのレベル、初めての学生、初めてが重なるとプレッシャーですね。

   では、これからの日本語教育に期待することは何でしょうか。

松本:私は7年程、日本の日本語教育機関から離れて、海外で教えていました。

   7年ぶりに日本に帰国して日本語学校に復帰すると、すっかり様変わりしていました。

   中国の学生達は、ほとんどが塾で日本語を勉強して、大学や大学院進学に備えています。

   以前なら、考えられないことでした。そして、もっと驚いたことは「日本語学校はビザを取る所、日本語を教えてくれる

   所は塾」このように思われていることでした。これは日本語教師にとって、非常に残念なことではないでしょうか。

   せっかく日本に留学しているのですから、やはり生の日本語を聞いて、「おもしろい!楽しい!学校に来てよかった!」と

   思うような教育現場になってほしいと思います。

中道:そうですね。

   ひょっとすると、塾があるから日本の有名校に進学出来るかもと期待して、日本に来ているかもしれませんね。

   受験のことだけではない、日本語の魅力を伝える機関を増やしたいですね。

   では、最後に、これから日本語教育界に一歩踏み出そうとしている方へ、メッセージをお願いいたします。

松本:今は、期待と不安でいっぱいかと思います。早く学習者達に教えたいと思っているかと思います。

  「教える」「教え込む」のではなく、その言葉の意味を理解してもらって、「いつ、どこで、誰に、どのように使うのか」

  それを、わかりやすく伝えることが大切だと思います。いつも、学習者達と日本語でキャッチボールをしてみてください。

中道:松本先生、ありがとうございました!

   ぶろぐの第4弾をお楽しみに。